加計学園問題から垣間見える報道のワイドナショー化

学校法人加計学園が52年ぶりに愛媛県今治市に獣医学部を開設する。この獣医学部開設の認可に問題で、学園の理事長を務める加計孝太郎氏が安倍総理の友人で会ったことなどから、マスコミは獣医学部の新設には疑念があるとして安倍総理を非難、民進党もこれに便乗する形で安倍政権に対する格好の攻撃材料としている。

しかし、特区構想と獣医学部の新設問題を見てみると、平成19年愛媛県今治市は、特区制度を活用した獣医学部(設置母体:加計学園)を政府(福田内閣)に申請するも不可となる。翌20年にも同様の申請をするも不可(麻生内閣)となるも、政権交代により平成21年民主党政権(鳩山内閣)時に加計学園を母体とした獣医学部の設置を申請、実現に向け検討となる。 この時に、日本中医師会顧問の北村直人衆院議員が愛媛県知事室を訪れ、「特区申請の取り下げを要求した」と加戸前知事が証言している。

さらに、今治市と愛媛県が特区による獣医学部新設に拘る理由としては、平成15年に文科省が示した大学の設置基準で、獣医師養成系大学、学部の基準が示されていないため、内閣府を後ろ盾に特区制度を活用しなければ実現不可能であった。 この流れを見てみると、文科省、獣医師会は獣医養成系の大学、学部の新設に強い拒否反応を示していることが分かる。

だが、疑念も残る。それは平成27年の特区第三次指定の選定に43の自治体中、38番目に名乗りを上げた今治市が北九州市、千葉市と並んで特区指定を受けたかである。

この点をマスコミは取り上げて、安倍首相を批判しているが、鳥インフルエンザなどの感染病対策を行う獣医師が不足している今日、何故50年以上も獣医学部の増設と増員を行ってこなかったのかと言う疑念には、知らんぷりである。

マスコミは、人材をそろえた京都産業大学の獣医学部申請を許可せずに、何故に加計学園だけ学部新設を認めたかと批判したが、京都産業大学の獣医学部新設構想は獣医師会の強い反発を受けて京都府が及び腰になり頓挫したことを有能な取材陣とネットワークを持つ報道各局が知らないはずはない。

この点にメスを入れないマスコミは、話題性を追うばかりで、昭和59年以降、定員を930人と定めて、既存の16大学以外の新設を規制して既得権益を守ろうとする獣医師会と文科省の味方をしているようにも見える。