小学校用地払い下げ問題で思想信条に踏み込むマスコミ
学校法人『森友学園』が大阪・豊中市で今年4月に開校を予定している、日本で唯一の神道系小学校「瑞穂の國記念小學院」の建設用地が隣接する国有地の10分の1という不当に安い価格で払い下げられたことが問題となっている。
さらに同小学校の「名誉校長 安倍昭恵」の名があり、国有地払い下げに絡んで政治家の斡旋、特に安倍首相サイドの口利きがあったか否かを絡めて、野党各党は政局を睨み連日国会で安倍首相を追及している。
国有地の払い下げにおいては、透明性を持たせるのが第一であるが、問題は払い下げ問題を報じるマスコミの報道姿勢にある。
朝日新聞をはじめとするマスコミ各社は、森本学園の理事長籠池泰典氏が、憲法改正を目指す「日本会議」の役員であったことや、同学園が運営する「塚本幼稚園」が園児に教育勅語を暗唱させ、軍歌を歌わせることなどを強く批判しているが、これは私学教育に対するマスコミの思想介入ではないか。
無論、私立幼稚園であろうと学校教育法と学習指導要領を守らねばならないが、反面学習指導要領の範囲内であれば、私立学校が独自の価値観に基づいた教育方針で教育するのは、自由なはずである。
例えば、あるキリスト教系私立幼稚園では、賛美歌を歌の時間に歌ったりする。これをマスコミは宗教教育として批判するのか。キリスト教徒以外は入園させないとすると問題があるが、私立には私立なりの独自の教育方針がある。それに共鳴して父兄は。わが子を入園させる。それが公立学校に対する私立学校の売りとなっている。
第一、独自の教育方針に対する共鳴者が少なければ、私立学校は経営上立ち行かなくなり、廃校か教育方針の転換を余儀なくされる。
昨今の朝日新聞をはじめとするマスコミ各社の連日の報道と野党各党の国会質問を見ていると、国有地払い下げ問題よりも軸足が学校法人の教育方針に注がれ、「自分たちの価値観に合致しない人物が学校法人を運営し、しかも国有地を不当な価格で取得したことが気に入らないから批判している」かのように受け止められる。
ある新聞に、国有地払い下げ問題を追及している豊中市議の談話として「同小学校の建設現場に貼られていた生徒募集のポスターには、教育勅語が書かれていた」という記事を掲載していたが、学校法人の教育方針と国有地払い下げ問題との因果関係はどこにあるのか。
いまこそ、朝日新聞をはじめマスコミ各社は、国有地払い下げ問題を取り上げているのか、学校法人の教育方針を批判しているのか、その立場を明確した報道をすべきである。
特に朝日新聞は、築地にある朝日新聞本社建設に伴い、格安で国有地の払い下げを受けていた事実を国民に公表した上で、今回の払い下げ問題を批判すべきだ。